フォボハム平原（風車小屋内） →記録：ひとつの石と小さな波紋ウィーグラフ、ゴラグロス、他数名がたむろしている
「何故、娘を誘拐した？
「我々が逃げるためには
人質を取らざるをえなかったんだ。
「逃げるだけならば
途中で解放することもできたはず。
「ゴラグロス、まさか、おまえまで…！
「ギュスタヴと一緒にするのか！
「よく考えてみろ、ウィーグラフ。
我々骸騎士団は仲間の大半を失い、
今も北天騎士団に包囲されている。
「この窮地を乗り切るためには
またとない切り札となるぞ。
この娘はベオルブ家の令嬢だからな！
「逃げてどうする？
いや、どこへ逃げようというのだ？
「この場から逃れようとも
我々は奪われる側…。
いいように利用されるだけだ！
「我々は我々の子供たちのために
未来を築かねばならない。
同じ苦しみを与えぬためにも！
「我々の投じた小石は
小さな波紋しか起こせぬかもしれんが
それは確実に大きな波となろう。
「たとえ、
ここで朽ち果てようともな！
「我々に“死ね”と命ずるのか？
「ただでは死なぬ。
一人でも多くの貴族を道連れに！
「バカな！
犬死にするだけだ！！
「いや、ジークデン砦には
生き残った仲間がまだいるはずだ。
「合流すれば
一矢報いることはできよう！
「すでに、殺られているかも……。
「なんだとッ！
ミルウーダが殺られたというのか！
「ミルウーダ……。
「ミルウーダの命を奪った小隊が
ここへ来るのも時間の問題です。
「ウィーグラフ様、ご指示を！
「わかった。
ここを撤退する！！
「聞いてのとおりだ、ゴラグロス。
ジークデン砦へ向かうぞ。
娘はここへ置いていけ！
「敵襲ッ！！
北天騎士団のヤツラだーッ！！
「チッ、早いなッ！！
「ここは私がくい止める！
ゴラグロス、おまえは他の仲間と共に
ジークデン砦を目指せ！！
「オレは逃げてやる……。
死んでたまるか！
フォボハム平原（風車小屋）「おまえたちは、あの時の…。まさか、
おまえたちがミルウーダを？
「おまえたち士官候補生たちが
我が妹、ミルウーダを
倒したというのか…！
「彼女はウィーグラフの妹だったのか？
「…ならば、退くわけにはいくまい。
妹の仇を討たせてもらおうかッ！！
…………条件(1)
「ティータを、オレの妹のティータを
返してくれッ！！
「ティータ？ あの娘のことか？
ならば、おまえがベオルブ家の？
「彼はベオルブ家と関係ない！
僕がベオルブの名を継ぐ者だッ！！
「なるほど、ゴラグロスが間違えたか。
だが、まったく無関係ではあるまい？
「ベオルブ家に関わる者ならば
皆一緒と言いたいのか？
「違うとでも？
「どちらにしても
あの娘は解放するつもりだった。
人質を取るつもりはない。
「だが、その前に、決着をつけよう！
あの娘を返して欲しくば
私を倒してからにするがいいッ！！
▼ ウィーグラフAT
▼ ウィーグラフHP=約75%以下
…………条件(2)
「剣を捨てろ、ウィーグラフ！
これ以上の命の奪い合いは無駄だッ！
「では、何故、妹を…、
ミルウーダを殺したッ！
「命を奪おうと
最初から考えていたわけじゃない！
「戦わなくても、
他に方法があるんじゃないのかッ？
話し合うことはできないのかッ？
「やはり、おまえはわかっていない。
我々が剣を棄てない理由を！
「話し合いに何が期待できる？
おまえがそれを願ったとして、
それを実現できるのかッ？
「できはしまい？
よしんば、おまえがそうしたとしても
おまえの兄たちは認めんよ！！
「兄さんたちだって
争いをしたいわけじゃないッ！！
「ウィーグラフ、貴方さえ
剣を棄ててくれれば兄さんたちだって
話し合いに応じてくれるはずだッ！
「ハッハッハッ！
これは傑作だッ！
「おまえの兄たちが
争いを起こしたくないだと？
おまえはどこまで幸せなヤツなんだ！
▼ ラムザAT
「兄さんたちが好んで戦いを
しかけていると言いたいのかッ！！
「青いな！ 執政者の手なんぞ
黒い血で汚れているもの！
「ダイスダーグに正義があるとでも？
正義とはそれを語る者によって
ころころと変わるものだ！
「兄さんを愚弄するのかッ！！
「クッ、手強いッ！！
「ミルウーダ、すまぬ！
私はここで死ぬわけにはいかないッ！
「待てッ、ウィーグラフ！
逃げるのかッ！！
「エルムドア侯爵をギュスタヴに
誘拐させたのは誰だと思う？
「それはおまえの兄、ダイスダーグだ！
もちろん、聖騎士ザルバッグ殿も
それを知っているだろうッ！！
「ばかなッ！ 何故、兄さんが
そんなことをしなければならないッ！
「国王亡き後の覇権をめぐり
二人の獅子が争おうとしている！
「一人は白獅子ラーグ公、
もう一人は黒獅子ゴルターナ公。
「二人は誰が味方で誰が敵なのかを
見極めようとしている。しかし、
他人の頭の中を覗くのは難しい。
「ならば、いっそ亡き者にし
その領地に息のかかった者を
送り込めばいい！
「革命に疲れた愚かなギュスタヴは
おまえの兄・ダイスダーグの甘言に
つられて侯爵殿を誘拐した…！
「ウソだッ！！ 誇り高きベオルブ家の
人間がそんな卑怯な事をするものか！
「自分の目と耳で確かめるがいい！
さらばだ、ベオルブの名を継ぐ者よ！
「待てッ、ウィーグラフッ！！
その言葉を訂正しろッ！！
フォボハム平原（風車小屋内）「ティータ！ どこだ、ティータ！！
ディリータ：周囲を見回す
「いない！ どこにもいないッ！
ティータ、どこだッ！！
「ウィーグラフめ、ウソだったのか！？
「ディリータ、ジークデン砦へ行こう！
きっとティータはそこにいるはずだ。
「どうしてだ？
どうして、こんなことになった？
「教えてくれ、ラムザ。
どうして、ティータがこんな目に…。
「ディリータ……。