公爵別邸〜ワイン貯蔵庫入口

バルドルバ公爵別邸
THE BODY IS BUT A VESSEL FOR THE SOUL,
A PUPPET WHICH BENDS TO THE SOUL'S TYRANNY.
AND LO, THE BODY IS NOT ETERNAL,
FOR IT MUST FEED ON THE FLESH OF OTHERS,
LEST IT RETURN TO THE DUST WHENCE IT CAME.
THEREFORE MUST THE SOUL
DECEIVE, DESPISE, AND MURDER MEN.

        A. J. DURAI

肉体とは魂の器にすぎない
魂という暴君の傀儡(くぐつ)でしかない

しかし、肉体は永遠の存在を許されてはいない

日々、塵に帰さぬために
他の肉を喰らい続けねばならないのだ

それゆえ、魂は
他人を欺(あざむ)き、貶(おとし)め、殺すのである
1-041

 
  公爵:寝台に上半身を起こした姿勢で 1-042
公爵 ……では、鎮圧したのは
王国騎士団ではなく法王庁の
者たちだというのだな。
 
  ローゼンクランツ:片膝をついた姿勢のままで  
ローゼンクランツ ギルデンスターン率いる
聖印騎士団でございます。
 
  近習二人:寝台の横に控えている  
近習1 “クリムゾンブレイド”
と呼ばれる法王直属の
部隊です。
 
貿易都市グレイランド
バルドルバ公爵別宅

DUKE BARDORBA'S SECONDARY RESIDENCE
GRAYLANDS 5:38 A.M.
 
ローゼンクランツ ギルデンスターンらはシドニーを
追ってすでにレアモンデへ向かった
との報告にございます。
 
公爵 ……ふむ。  
公爵 …誰ぞ、聖印騎士団の鎧を着用し、
館に火をつけるよう命じよ。
 
  近習二人:顔を見合わせ  
近習1 火…でございますか?  
公爵 シドニーはワイバーンを
用いたのだ。
 
  アレを見た者を生かして
おくわけにはいくまい。
 
近習1 しかし、人質に取られていた
奥様らは……
 
公爵 構わぬ。火を放て!
すべてを灰にするのだ!
 
  近習1:弾けるように早歩きで退出する  
公爵 ……議会の動きは?  
ローゼンクランツ VKP(バレンディア治安維持騎士団)は
重犯罪者処理班を投入しております。
 
公爵 リスクブレイカーか…。
厄介な連中が絡んできおったな。
 
ローゼンクランツ いかがなさいます?  
公爵 ……レアモンデは貴様に任す。
やつらをレアモンデから出すな。
 
  シドニーもクリムゾンブレイドも
処分するのだ。
 
ローゼンクランツ 議会は?  
公爵 番犬どもはわしがなんとかしよう…。
これ以上、邪魔はさせん。
 
ローゼンクランツ ジョシュア様はどうされます?  
  公爵:ついと顔を上げる
雷光が一瞬身体を照らす
 
公爵 ……あれはわしの魂だ。
死なせるわけにはいかん……。
 
ローゼンクランツ 仰せのままに。  
  ローゼンクランツ:立ち上がり一礼して退出
ローゼンクランツの背後に位置する公爵一家の肖像画、そしてその中央のジョシュアの顔が大きく映る
 
  近習2:側を辞し退出  
公爵 ……生きながら腐るとは我のことか。  
 
レアモンデ入口
11:42 A.M.
1-042

  キャロ:殺されたVKP監視班の死体を見つめる 1-051

 
LEA MONDE IS AN OLD TOWN,
WITH A HISTORY OF OVER 2,000 YEARS.
ITS WALLS HAVE SEEN MANY BATTLES - -
THEY ARE STRONGER THAN THE MIGHTIEST
FORTS OF VALENDIA, AND AS THE SUN WHEELS
THROUGH THE SKY, THE BEAUTY OF THEIR
SHIFTING COLORS SURPASSES THAT OF ANY PALACE.

“レアモンデは二千年以上もの歴史を持つ古い町である

 いくつもの戦乱をくぐり抜けてきた城壁は
 バレンディアのどの城塞よりも頑強で、

 太陽の傾きに応じてその姿を七色に変える様は
 どの宮殿よりも美しい

THE GRAND CATHEDRAL THAT TOWERS OVER
THE TOWN CENTER IS A SYMBOL OF LEA MONDE'S
INDOMITABLE SPIRIT, AND IS THE HOLY GROUND OF
THE DEVOUT IOCUS PRIESTHOOD.
AT ITS HEIGHT, LEA MONDE WAS A THRIVING
COMMUNITY MORE THAN 5,000 PEOPLE STRONG.
25 YEARS AGO, A GREAT EARTHQUAKE BROUGHT
THAT CHAPTER IN LEA MONDE'S HISTORY TO A CLOSE.

 町の中心にそびえたつ大聖堂はレアモンデのシンボルであり、
 敬虔(けいけん)なヨクス教徒たちの聖地でもある

 最盛期には五千人以上の人々が暮らしていたが、

 25年前の大地震によって
 レアモンデはその歴史を永遠に閉じた”
 

 
LEA MONDE

城塞都市レアモンデ
 

 
  レアモンデへの地下入口を臨む地上
海を挟んでレアモンデがそびえ立つ
 
  アシュレイ:地下入口から地上に出る階段の途中、地上で待機していたキャロに向かって  
アシュレイ …どうだった?  
キャロ 監視班の二人は
殺されていたわ。
 
アシュレイ …そうか。  
  アシュレイ:階段を上りきり地上に出て  
アシュレイ ここだけなのか?  
キャロ 少なくとも地上からは無理ね。
大きなクレバスがあって近づけないわ。
 
アシュレイ 海上からは?  
キャロ 地震で生じた暗礁が海流を変化させたようで
巨大な渦が所々にあって、やっぱり侵入は無理ね。
 
キャロ 事実、我々はあの街こそが
メレンカンプのアジトと踏んで
エージェントを送り込んだわ。
 
キャロ でも、誰も帰ってこなかった……。  
  アシュレイ:周囲を少し見回し  
アシュレイ 帰ってこなかったのは
渦のせいじゃない……。
 
  キャロ:少し顔を伏せ目を閉じ、かぶりをふって  
キャロ そうね。少なくとも彼らを
殺したのは人間だわ。
 
  キャロ:アシュレイに向かって  
キャロ 中はどうだったの?  
アシュレイ 行ってみればわかる…。  
  アシュレイ、キャロ:地下入口への階段を降りる  

 
...ACCORDING TO THE SURVIVORS,
OUR COMRADE AGENT RIOT HEADED
OUT FOR LEA MONDE BEFORE NOON.
OF COURSE, THE REPORTS ARE VAGUE AND WE
CANNOT DENY THE POSSIBILITY OF INNACCURACIES.
YET GIVEN THAT THERE IS ONLY ONE PATH TO
INFILTRATE LEA MONDE, THIS OFFICE BELIEVES
THE REPORTS TO BE VALID.

“…生存者の証言によると、
 我々の同志であるエージェント・ライオットは
 正午前にはレアモンデに向かったようである

 無論、生存者の証言には曖昧(あいまい)な点が多く
 事実と異なる可能性は否定できないが、

 レアモンデへの侵入経路が他にない以上、
 証言が妥当であると当局は判断する”
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  地下にあるレアモンデへの入口;ワイン貯蔵庫前  
  キャロ:聖印騎士数名の死体を目にし  
キャロ …どういうこと?  
アシュレイ それを調べるのが
オレの仕事だ。
 
  アシュレイ:入口の扉前に立ち  
アシュレイ …たかがワインの貯蔵庫
なのに厳重すぎるな。
 
  キャロ:かがんで死体の様子を調べながら  
キャロ あら、レアモンデ産のワインは
バレンディアでも一、二を争うほどの
出来だったのよ。
 
  キャロ:立ち上り  
  今は生産されていない分、
プレミアムもついて高値で
取引されているわ。
 
  アシュレイ:入口の落とし格子を上げる滑車を動かし  
アシュレイ …見つけたら、きみに
お土産として進呈するよ。
 
  キャロ:そのまま進み入るアシュレイに向かって  
キャロ 一人で行くつもり?  
  アシュレイ:振り向き  
アシュレイ 実戦を経験していないエージェントは
足手まといなだけだ。
 
キャロ ………。  
  アシュレイ:キャロの側に歩み寄り  
アシュレイ メレンカンプとシドニーについて
知っていることを教えてくれ。
 
キャロ …シドニー・ロスタロット。
宗教集団メレンカンプの主宰者。
 
  本名、年齢は不明。数多くいる、
終末論を語る自称預言者よ。
 
アシュレイ カルト教団の宣教師が
なぜこんな犯罪を?
 
キャロ 法王庁がどう考えているか知らないけれど、
少なくともVKPは彼を預言者とは
捉えていないわ。
 
キャロ 議会を陰で操るバルドルバ公爵の
ダークサイドを受け持つ闇の存在……、
 
  カルトは彼の隠れ蓑ってわけね。  
  今回の一件、仲間割れって
ところじゃないかしら?
 
  キャロ:少し場所を移動する  
アシュレイ …法王庁が動いたのは
“魔女狩り”だとでも?
 
キャロ ……この時代、自称預言者は
数多いけどシドニーは特別よ。
 
  預言と神の啓示に満ちた福音を説き
黙示録を流行歌のように口ずさむ
あの男に魅せられた信者たちは
一様にこう言うの。
 
  キャロ:アシュレイを見据え  
キャロ 『彼こそ奇跡だ』と。  
アシュレイ ………。  
  キャロ:身ぶり手ぶりを交えながら  
キャロ …なんというか、彼は不思議な
力を持っているようなのよ。
 
  初対面の者の過去を言い当てたり、
心を読んだり……。
 
  あと、あの強烈なカリスマを
前にした者は身も心も彼に
捧げてしまうみたい。
 
アシュレイ …まるで恋人を語るかのようだな。  
  アシュレイ:そのまま入口へ足を踏み入れる  
キャロ エージェント・ ライオット!!  
  アシュレイ:振り向き  
アシュレイ 24時間待って帰ってこなかったら
本部へ連絡を入れてくれ。
 
  落とし格子を下ろす  
キャロ 気をつけて。  
  アシュレイ:奥へと消える  
  キャロ:アシュレイを見送り、ゆっくりと地上への階段に脚をかける
その先にはシドニーが立っていた
 

 
WE SENT MEN TO MONITOR THE ABANDONED
MINESHAFT THAT LEADS TO LEA MONDE.
ALL WERE FOUND DEAD.
AT THE ENTRANCE ANOTHER BODY WAS FOUND,
A KNIGHT OF THE POPE'S CRIMSON BLADE SQUAD.

“レアモンデへの唯一の侵入口と思われる廃坑を
  監視していた同志たちはいずれも死体で発見された

 また、入口に法王庁の騎士団クリムゾンブレイドの一員と
 思われる騎士の死体も発見された

OUR MEN WERE MURDERED WITH SWORDS,
BUT THE KNIGHT'S WOUNDS SHOW HE DIED
BY HIS OWN HAND.
AT PRESENT, WE HAVE TAKEN THE BODIES
INTO OUR CUSTODY, AND OUR SPECIALISTS
ARE CONTINUING THE EXAMINATION.

EXCERPT FROM GRAYLANDS
INCIDENT INVESTIGATION REPORT [SECTION 3.14]

 前者はいずれも剣による刺殺、他殺と思われるが、
 後者はその傷から自殺と判断される

 現在、死体を当局に移し専門家による調査を続行している”

グレイランド事件に関する調査書
第三章十四項より抜粋
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ワイン貯蔵庫 − [光の出口と闇の入口]
  アシュレイ:不穏な雰囲気に一瞬振り返る SE
  アシュレイ:壁際に積んであるワイン樽を見て  
アシュレイ ビンテージワインか……。  
  地鳴りとともに天井から塵が舞い落ちる  
アシュレイ …生き埋めはご免だな。  
  アシュレイ:前方の出口を見て  
アシュレイ 『不思議な力』か……。