1章 イグーロス城

(ワールドマップから)
event イグーロス城(執務室)  →記録:ダイスダーグとの再会
  ダイスダーグ(上座)・ラムザ・ディリータ・アルガスが席に着いている 71/1-38
  ダイスダーグ卿
「…初陣を勝利で飾ったそうだな。
 兄として嬉しいぞ。
「他の重臣の方々も
 さすがベオルブ家の血を引く者と
 誉めておいでだったぞ。
 
  剣士ラムザ
「…ありがとうございます。
 
 
  ダイスダーグ卿
「なんだ、嬉しくないのか?
 
 
  剣士ラムザ
「いえ、そんなことはございません。
 お褒めの言葉、有り難く存じます。
「…報告があったと思いますが、
 エルムドア侯の馬車が襲われ、
 誘拐されたとのこと。
「いかがなされますか?
 
 
 
  ダイスダーグ卿
「うむ。ザルバッグに捜索隊を出すよう
 すでに手を打ってある。
「また、いずれ、やつらから
 身代金の要求もあろう…。
 侯爵殿が生きておいでならばな。
 
  アルガス:突然立ち上がりダイスダーグに向かい  
  剣士アルガス
「お願いします、ベオルブ閣下。
 何卒、私に百の兵をお与えください!
 
  ダイスダーグ卿
「………。
 
 
  剣士アルガス
「何卒、お願い申しあげます。
 やつらに殺された仲間の仇を私にッ!
 
  ダイスダーグ卿
「手を打ったと申しておる。
 それがわからぬわけではあるまい。
「ここは貴公が暮らす土地ではない。
 ガリオンヌのことは我らに
 任せておくことだ。
 
  剣士アルガス
「し、しかし!
 
 
  ダイスダーグ卿
「身分をわきまえぬか、アルガス殿!
 
「貴公は、騎士の称号すら持たぬ
 一兵卒にすぎぬことを
 忘れておいでか?
 
  剣士アルガス
「くッ…………。
 
 
  アルガス:着席  
  ダイスダーグ卿
「おまえたちには、このイグーロス城の
 警護についてもらおう。
「なに、それほど難しくはない。
 “危険”が、この城にまで
 及ぶことなどなかろうよ。
 
 
(引き続き)
event イグーロス城(庭先)  →記録:イグーロス城にて
  アルガス:橋の途中で立ち止まる
ラムザ、ディリータ:アルガスの話に振り返る
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  剣士アルガス
「…オレの家も昔はベオルブ家みたいに
 皆から尊敬される家柄だったんだ。
 
  剣士アルガス
「五十年戦争の時に、オレのじいさんが
 敵に捕まってなぁ…。
「じいさん、自分だけ助かるために
 仲間を敵に売ったんだよ。
 そう、自分の命を救うためにね…。
「でも、敵の城を出たとたんに
 背後から刺されて死んじまった…。
 オレみたいな騎士見習いにな。
「そんな話を、じいさんの仲間だった
 一人が命からがら脱出してきて
 方々に吹いてまわったんだ。
「もちろん、オヤジは信じなかったよ。
 でもな、みんなその話を信じた。
 そして、みんな去っていった…。
 
  アルガス:足元の小石を拾ってそれを池に放り投げる
アルガス:宙を見上げて
 
  剣士アルガス
「身分か……。たしかに、オレ一人じゃ
 ダイスダーグ卿には会えんよなぁ…。
 
  若い娘の声
「兄さーん!
 
 
  剣士ディリータ
「ティータ!
 
 
  剣士ラムザ
「アルマ、ザルバッグ兄さん!
 
 
  アルマ、ティータ、ザルバッグ:登場
三人のもとへ
 
  アルマ
「ラムザ兄さん。
 戻っておいでだったのね。
 
  剣士ラムザ
「お久しぶりです、兄さん。
 
 
  聖騎士ザルバッグ
「聞いたぞ。ガリランドでは
 盗賊どもをけちらしたそうだな。
「それでこそベオルブ家の一員だ。
 亡き父上も喜んでおいでだろう。
 
 
  剣士ラムザ
「…ありがとうございます。
 
 
  聖騎士ザルバッグ
「ふふっ、あいかわらずだな。
 こんな言葉じゃ素直に喜べんか。
「ディリータ。たくましくなったな。
 おまえの活躍の話も聞いたぞ。
 ティータが嬉しそうだった。なぁ?
 
  ティータ
「ディリータ兄さん。
 お元気そうでなによりです。
 
  剣士ディリータ
「ティータこそ元気そうでよかった。
 学校には慣れたか?
 
  ティータ
「ええ、みなさん、
 とてもよくしてくださるので…。
 
  聖騎士ザルバッグ
「ゆっくり話していたいところだが、
 これから盗賊狩りなんだ。すまんな。
 
  剣士ラムザ
「ご武運を。
 
 
  ザルバッグ:軽く片手を振り立ち去ろうとする
ザルバッグ:ふと止まる
 
  聖騎士ザルバッグ
「…骸旅団から身代金の要求があった。
 
 
  剣士アルガス
「なんだって!?
 
 
  ザルバッグ:振り返ってラムザの方を向き  
  聖騎士ザルバッグ
「…どうも腑に落ちないことがある。
 
「骸旅団は反貴族を掲げるアナーキスト
 だが、貴族やそれに仕える者たち以外
 には手を出さない義賊だという。
「そんなやつらが金目当てで
 侯爵殿を誘拐したとは考えにくいな。
 
 
  剣士アルガス
「ばかな!
 やつらはただのならず者だ!
 
  ザルバッグ:視線をアルガスに向け牽制した後、再びラムザに向かい  
  聖騎士ザルバッグ
「情報収集のために放った“草”(スパ
 イのこと)の一人が戻ってこない。
「大事に巻き込まれたと考えられるが
 “草”ごときに捜索隊を出す必要は
 ないと重臣の方々はおっしゃるのだ。
 
  剣士ラムザ
「どこで消息を絶ったんですか?
 
 
  聖騎士ザルバッグ
「ガリオンヌの東、
 ドーターという名の貿易都市だ…。
「…城の警護なんぞ、退屈だぞ。
 そう思わんか?
 
 
  ザルバッグ:退場  
  剣士ディリータ
「ティータ、すまない。
 僕らは行くよ。
 
  ティータ:首を左右に振り  
  ティータ
「私のことなら心配しないで。
 自分のことだけ考えてね。
 
  ディリータとティータ:抱擁  
  剣士ディリータ
「大丈夫。無茶はしない。
 必ず戻ってくるからいい子でいろよ。
 
  剣士ディリータ
「さぁ、行こうぜ、アルガス。
 
 
  アルガス、ディリータ、ティータ:退場  
  アルマ:彼らのあとを追うラムザに向かい  
  アルマ
「ティータはああ言ったけど、
 ほんとは……。
 
  剣士ラムザ
「ティータがどうかしたのか?
 
 
  アルマ
「身分が違うって、
 学校でいじめられることが多いのよ。
 
  剣士ラムザ
「………。
 
 
  アルマ
「ごめんなさい。兄さん。
 余計な心配させちゃって。
「ティータのことは大丈夫よ。
 私がついているから。
 安心して。
 
  剣士ラムザ
「心配なんてしてないさ。
 でも、あんまり無理するなよ。
 
  アルマ
「兄さんこそ、周りの期待に応えようと
 なんでも背負い込みすぎよ。
「兄さんは兄さんなんだから、
 ベオルブの名に
 縛られることはないわ。
 
  剣士ラムザ
「まるで、母さんみたいな言い方だな。
 ははははは。
 
  ラムザ:退場  
  アルマ
「ラムザ兄さん……。
 
 
  アルマの髪とスカートが風にゆれる