2章 ゼルテニア城

(引き続き)
event ゼルテニア城  →記録:獅子戦争勃発
ゼルテニア城城内 74/2-04
  ゴルターナ公とその廷臣たち(グルワンヌ大臣・カンバベリフ司教・オルランドゥ伯・オーラン)が居並ぶ
ディリータ:登場、ゴルターナ公の前で跪く
 
  ゴルターナ公
「貴公か…、オヴェリア王女を
 救出したというのは…。
 
  騎士ディリータ
「グリムス男爵配下の黒羊騎士団、
 副官ハイラル。名をディリータ。
「グリムス男爵の密命により
 王女を救出するため身分を偽り出兵。
 任務を果たし、帰還いたしました。
 
  グルワンヌ大臣
「…ハイラルだと?
 聞かぬ名だ。
 
  ゴルターナ公
「男爵は先月、亮目団との戦いで戦死し
 黒羊騎士団も全滅したはず。
 
  騎士ディリータ
「それ故、急ぎ帰還いたしました。
 
 
  ゴルターナ公
「王女は?
 
 
  司教カンバベリフ
「長旅の疲れのためか、
 死んだように眠っておいでです。
 
  オルランドゥ伯
「…捕虜を連れてきたと聞いたが?
 
 
  騎士ディリータ
「ハッ。
 
 
  ディリータ:立ち上がり、後方を向いて  
  「捕虜を連れてこい!
 
 
 
  扉が開き捕虜登場、ディリータの隣りに跪かされる  
  騎士ディリータ
「何故、王女を誘拐した?
 
 
  捕虜
「ゴルターナ公に嫌疑をかけることで
 王都ルザリアへの上洛を妨げ、
「摂政の位を与えぬためだ…。
 
 
 
  騎士ディリータ
「誰がおまえに命じた?
 ラーグ公か?
 
  捕虜
「…ラーグ公に取り入ろうとする
 ゴルターナ公の側近の一人だ。
 
  グルワンヌ大臣:捕虜の前に歩を進め  
  グルワンヌ大臣
「バカな! そのような不忠者が
 おるはずもない!
「ええい、
 その痴れ者の口を閉じさせよ!
 
 
  ゴルターナ公
「かまわぬ、聞け。
 
 
  騎士ディリータ
「…それは誰だ?
 
 
  捕虜:うつむく  
  捕虜
「…………。
 
 
  騎士ディリータ
「言えッ、言うんだッ!
 
 
  捕虜
「オレの命は助けてくれるんだろうな?
 
 
  騎士ディリータ
「約束しよう。
 言えッ、誰だッ!!
 
  捕虜:顔を上げ  
  捕虜
「…そこにいるグルワンヌ大臣だ。
 
 
  グルワンヌ大臣:捕虜の正面に立ち  
  グルワンヌ大臣
「なんだと! ウソを申すな!
 わしはおまえなど知らぬ!!
 
  騎士ディリータ
「誰にそそのかされた? 王妃か?
 
 
  グルワンヌ大臣:ディリータに向かい  
  グルワンヌ大臣
「ばかなッ、わしには関係ないッ!
 
 
  騎士ディリータ
「主君を裏切った罪は重いぞ、大臣殿!
 
 
  ディリータ:剣を抜く
オルランドゥ伯:剣のつかに手をかける
司教ら:後ずさる
 
  グルワンヌ大臣
「知らぬッ! わしは知らぬッ!!
 
 
  ディリータ:背を見せた大臣を斬る
大臣:絶命
ディリータ:剣を収め、再度ゴルターナ公の前に跪く
オルランドゥ伯:剣のつかにかけた手を離す
 
  騎士ディリータ
「僭越ながら申し上げます!
 
「今すぐ南天騎士団を率いて
 上洛されるべし!
 
「さもなくば、大臣の謀り事の責任を
 公爵閣下にとらせようと
 言い出す輩が出て参りましょう。
「その前に、速やかに
 オリナス王子と王妃を排斥し、
 オヴェリア様を御位に!!
 



 
王都ルザリアへの上洛を果たした
ゴルターナ公は、
王妃ルーヴェリアを王女誘拐の
首謀者としてベスラへ幽閉し、
オヴェリアを即位させた…。

しかし、ラーグ公は
オリナスこそが
正統の王位継承者であるとして
即位させると同時に
自分は後見人として摂政の座についた。

すぐにラーグ公は王妃救出のために
オリナスを総大将とした北天騎士団を
ベスラへ派遣した。
一方、ゴルターナ公も
オヴェリアを総大将とした
南天騎士団を派遣…。

後世“獅子戦争”と呼ばれる
大乱の始まりである…
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